読書記録

本は距離と目方

語りえぬ真実

『語りえぬ真実』

プリシラ・B・ヘイナー著、阿部利洋訳、平凡社、2006

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読み始め:2024年6月

「日本が第二次世界大戦後にTransitional Justice(移行期正義)を行ってこなかったのが問題だ」というのを聞いて、しばらくTransitional Justiceについて知りたいと思っていました。聞いたことすらなく、少し調べても何やら日本でまあまり広まっていない考え方のようでした。また、どこで聞いたか忘れたのですが(たぶんSNSで誰かが言っていた)「日本は戦争を放棄したことで、それまでの行為を赦されたと思っている」と聞き、あぁこれはその通りだろうと思いました。大陸に進出した時に日本がアジア各地で行ってきた行為をうやむやにしてきたのは、GHQの思惑やその後の日本の政治、一般の人の原爆や敗戦に対する被害者意識などに原因があるとは思っていたけれど、憲法9条がそのような影響をおよぼしているだろうことに私は気づいていませんでした。

Transitional Justiceを知るには、「International Center for Transitional Jusitce, ICTJ」のWebサイトに上質な資料や論文があるのでそれらやいくつか書籍を薦められました。他にもいくつか資料や論文を検索して見つけた中に、Priscilla Hayner氏のものがありました。どんな人なのか調べてみるとこの書籍『Unspeakable Truths』があり日本語訳が出版されていました。英語の書籍や大量の論文に取り掛かる前にざっくり日本語で理解させてもらおうと思って図書館へ行ってみたら、中身も厚みも重量級の書籍でしたが。