読書記録

本は距離と目方

ミル自伝

『ミル自伝』

J.S.ミル著、村井章子訳、みすず書房、2008

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読み始め:2024年3月

2002年に亡くなった祖父の自分史に書かれていたのをきっかけに読み始めました。岩波書店の翻訳が長く読まれてきたようだけれど、ビジネス書を多く翻訳されていていくつか読んだことがある村井氏の訳を迷わず選びました。

ミルが死ぬ直前に書かれた人生を振り返った自伝で、著名な歴史家、学者である父からのホームスクーリングから話が始まります。父に対する尊敬とダメ出しのツンデレが面白いです。単行本が長く在庫切れらしくKindle版を買ったのですが、繰り返し読みたいこういう本は、私は普段は紙で買って読みます。増刷されたら買ってしまうかもしれません。出版社へ増刷のリクエストを送ると、丁寧な返信をくださいました。

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読み始めて2か月経過。まだ最後までたどり着いていないけれど、Twitterを見返したら自分が全く覚えていないつぶやきがあって、こんな感想を持ったのだと自分で驚いています。ここに転記しておきます。

J.S.ミルの『ミル自伝』を読んでる。わたくし、哲学、道徳、キリスト教が何なのか全然知らないんだけど面白いこと言ってる:

うちのとーちゃんによれば、キリスト教は道徳最大の敵だと。神が世界を作ったなら苦労して悩む人人を作ってわざと自分を信じさせるようにした。善悪の判断がつく人ならそんな地獄を作るような神に怒り狂うだろう。でもみんな素直に信じているのは道理を考えず願望や恐怖にとらわれているから。

--- なるほどねー、神がマッチポンプとは、哲学者ってそういうものなんだ。一応言っとくと、factとして人は困難を抱えていて(科学的な生物としてのヒト、神とか関係なくて)、そこに(後から)神とか仏とかを持ち出して悩みを解決するっていうのは悪くないと思ってます。中世以降の社会のいい解決策だったと思う。そして近代以降現在は破壊的な科学技術への解決策が必要になってる。

そして本日Amazonを見返していたら、なんと『ミル自伝』の単行本の新装版の予約注文が掲載されていました。もちろん注文しました。Kindleでまだ読み終えてないけれど。そもそも候補にはなっていたのだろうけれど、リクエストを聞いて再検討してくれたのだろうか。